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AIで作った曲、通るのどれ?|TuneCore・DistroKid・CD Baby

AIで作った曲、通るのどれ? TuneCore・DistroKid・CD Baby
よくある疑問

Q. AIツールで作った曲、ディストリビュータに無事通って登録できますか?

A. 各社によって答えが違います。

この記事では、TuneCore・DistroKid・CD baby等ディストリビュータ各社の、AIコンテンツに対する考え方の違いを解説します。

「AI生成ツールの規約はクリアしたのに、なぜか楽曲配信できない」

こういう話を、身近で見かけたことがあるかも知れません。

ディストリビュータの規約は、その一因になることがあります。

でも、TuneCore・DistroKid・CDbabyといった各社の、AIに対する考え方は少々異なります。

「AI楽曲を配信して収益化したい」と思いネットリサーチしている場合、各社が示す立場の違いを知っておいて損はありません。

いくまささん

ベロ噛みそうですよね、ディストリビュータって言葉。

本記事は法令や政府ガイドライン、公式サイト等を根拠とします。
一般的情報を基礎とし、個別具体的な助言ではありません。
利用規約は随時更新されるため、最新規約を必ずご確認ください

目次

TuneCore Japan|条件は2つ、ハードルは高い

AI楽曲をプラットフォームで配信するには、ディストリビュータと呼ばれる会社を必ず経由します。TuneCore Japanはそのひとつで、AI楽曲については独自の条件を設けています。

ディストリビュータとは何か

自分で作った曲を、SpotifyやApple Musicに直接登録することはできません。これらのプラットフォームは、個人からの直接登録を受け付けていないからです。

ここで出てくるのがディストリビュータで、登録を代行してもらいます。TuneCore JapanやDistroKidがその役割を担っており、ディストリビュータは音楽の物流会社といえるでしょう。曲を作っても、この物流を通らなければ店舗(Spotify等)に並びません。

ディストリビュータに楽曲データを登録すると、各プラットフォームへの配信手続きを代行してくれます。ストリーミングで収益が発生したときも、各プラットフォームからの入金をまとめて受け取り、クリエイターに分配するのがディストリビュータの仕事です。

ディストリビュータにも独自のルールがあって、生成ツール(Suno等)の規約をクリアしただけでは不十分です。ディストリビュータの規約もクリアして初めて配信の入口に立てます。

問題構造:規約に書いていない

TuneCore Japanの利用規約(2025年12月22日改定)を読んでも、AI生成楽曲についての記載はありません。かといって「書いていないから大丈夫」とはならず、規約の外のルールを辿ることになります。

TuneCore Japanは規約そのものではなく、サポートページに「AIを使用したリリースに関するガイドライン」を設けています。サポートページも含めて規約であるとの解釈も成り立ちますが、二手に分かれるため少々わかりにくいかもしれません。

ガイドラインも利用規約と同様、いつ更新され内容が変更されてもおかしくありません。今日書いてあることが明日も同じとは限らず、配信や収益化を継続する場合はチェックしていく必要があります。

いくまささん

「今日よりも明日」わたしにはまぶしい言葉ですよ。

法的位置づけ:2つの条件が同時に必要

TuneCore Japanのサポートチームに問い合わせたところ、AI生成楽曲の登録は2つの条件を同時に満たす必要があるとの回答を得ました(2026年3月23日付)。

条件1:学習データがクリーンなサービスを使っていること
AIは大量の音楽データを学習して楽曲を生成します。その学習データに、権利処理されていない楽曲が混じっていないかどうか。

「混じっていないと確認ができないサービスはNG」というのがTuneCoreの立場です。部分的な使用であっても、この条件を満たさなければ登録できません。

条件2:AI生成音源をそのまま使わないこと
TuneCoreでは生成した音源に、人間の演奏や歌唱を加えて初めて登録できます。例えば「AI生成のインスト音源+人間の歌唱」という組み合わせです。

ここで注意が必要な定義があります。TuneCoreは「プロンプトを入力して生成しただけ」の場合も、100%AI生成とみなすと明記しています。AIに指示を打ち込んで曲を作り、そのまま配信しようとすると、条件2に引っかかります。

出典:TuneCore Japan|AIを使用したリリースに関するガイドライン(確認日:2026-03-29)

問題実例:Suno(Proプラン生成曲)を登録する場合

SunoのProプランで生成した楽曲には、Suno規約上の商用利用権が付与され、ここまでは問題ありません。でもTuneCoreに登録しようとすると、2つの条件でそれぞれ引っかかる可能性があります。

条件1で詰まる理由
Sunoは2025年11月WMG(Warner Music Group)との訴訟で和解しています。しかしUMGとSonyとの訴訟は、2026年3月時点でまだ続いています。

「学習データがクリーンだと確認できる」とは、現時点では言いにくい状態です。

条件2で詰まる理由
プロンプトを打って生成し、そのまま配信しようとすると、TuneCoreの定義する「100%AI生成」に該当します。人間の創作が加わっていないとみなされるため、条件2をクリアできません。

2つ並べると、SunoのProプランで生成した楽曲をそのまま登録しようとした場合、TuneCoreではどちらの条件でも止まる可能性があります。

実務的対処法:条件2は動ける、条件1は厳しい

条件2については対処できます。AI生成のインスト音源に自分の歌や演奏を加えれば、TuneCoreが例示する方法に沿えるからです。

ところが、条件1は、今すぐ解決できる話ではありません。学習データが公式に権利クリアされているAIサービスを選ぶか、訴訟の決着を待つか、という判断になります。

AI楽曲の制作を外部に発注している企業も他人事ではなく、発注したAI楽曲がどのサービスで、どのプランで作られたかを確認することは、発注側の責任範囲に入ります。

契約時に確認条件として入れておくと、後から困らずに済むでしょう。

出典:WMG|Warner Music Group and Suno Forge Groundbreaking Partnership(確認日:2026-03-29)

DistroKid|通りやすいが、通った後が本番

TuneCore Japanが条件を明示して事前に判断するのに対し、DistroKidは別のアプローチをとっています。通りやすいけれども、通った後のリスクはクリエイター側が負う構造です。

問題構造:ToSにないが記事はある

DistroKidの利用規約(2024年9月1日付)にも、AI生成楽曲についての記載はありません。TuneCore Japanと同じく、規約の外に判断基準があります。

ただ、DistroKidではヘルプセンターに専用の記事があります。「Can I Upload Music Made With AI Tools to DistroKid?」というページで、AI楽曲の登録条件が4点まとめられています。

出典:DistroKid Help Center|Can I Upload Music Made With AI Tools to DistroKid?(確認日:2026-03-29

法的位置づけ:4つの条件はシンプルだが幅広

DistroKidが示す条件は以下の4点です。

DistroKidが示す4つの条件
  • 権利を100%持っていること:AI含むあらゆる素材の配信権を自分が保有していること
  • なりすまし禁止:他のアーティストの声や外見を無許可で模倣しないこと
  • スパム禁止:アルゴリズム操作や大量生成を目的にしたコンテンツを展開しないこと
  • 権利侵害禁止:第三者の権利を侵害しないこと

TuneCore Japanのように「100%AI生成はNG」「学習データの確認が必要」という明示的な制限はありません。条件さえ満たせば、AI楽曲も登録できます。

問題実例:「権利を持っている」の解釈

「権利を100%持っていること」の定義は複雑で、持っていると言っても、AI楽曲の場合は確認すべき権利が複数あります。生成ツールの規約で認められた商用利用権だけが権利ではありません。

たとえばSunoのProプランで生成した楽曲は、Suno規約上の商用利用権は確認できます。でもそれだけでは不十分で、さらに2つの問題が残ります。

①学習データ由来のリスク
Sunoは現在、UMGおよびSonyとの訴訟が係属中です(2026年3月時点)。学習データに権利処理されていない楽曲が使われていた場合、生成した楽曲にもリスクが波及する可能性があります。

DistroKidはここを確認せず、確認するのはクリエイター自身となります。

②著作権が発生するかどうか
日本の現行法では、100%AI生成の楽曲に著作権が発生するかどうかは個別判断です。著作権がなければ「自分の権利」として主張する根拠が薄くなります。

DistroKidは「権利を持っているかどうか」を審査せず、登録時に「持っています」と申告すれば通ります。そのため、問題が起きたときの責任はクリエイター側に帰属することになります。

実務的示唆:「通った」は「安全」ではない

DistroKidはTuneCoreやCD Babyと比べて、AI楽曲を通しやすい構造になっています。しかしそれは、リスクがないということではありません。

TuneCoreは事前の条件で弾く、門が強固なタイプ。DistroKidはわりあいあっさり通るけど、問題が起きればクリエイターの責任という一寸先はガケのタイプ。どちらが安全かは、クリエイターがどれだけ権利根拠を説明できるかによって変わります。

AI楽曲を外部クリエイターに発注している企業についても、権利の根拠の確認において責任があることは、TuneCoreの章で触れたのと同じです。

出典:DistroKid Terms of Service(確認日:2026-03-29)

出典:DistroKid Help Center|Can I Upload Music Made With AI Tools to DistroKid?(確認日:2026-03-29)

CD Baby|AIは一切禁止

TuneCoreとDistroKidを見てきましたが、よく名前が挙がるディストリビュータがあと2つあります。CD BabyとSoundOnです。それぞれ簡単に触れておきます。

CD Baby|3社の中で最も厳しい立場

CD Babyは1998年創業の老舗ディストリビュータで、インディーアーティストの間では長年の実績があります。2026年2月にUMG傘下に入りましたが、サービスは継続しています。

AI楽曲に対する立場は、3社の中で最も明確で、AI生成コンテンツの配信は一律NGとされています。商用利用ライセンスが付いたAIツールを使っていても関係ありません。

「音源のオリジナリティと、権利が適切に処理されているかどうかを保証できない」というのがその理由です。

さらにCD Babyが属するグループのコンテンツポリシー(2025年10月更新)では、もう一点明記されています。著作権で保護された楽曲を無断で学習したAIコンテンツも、配信禁止の対象です。

TuneCoreは条件付きで許可。

DistroKidは権利があれば通る。

CD Babyは入口から受け付けない。

少々乱暴な論じ方ではあるものの、ディストリビュータのAI楽曲に対するスタンスはこれだけ違います。

出典:CD Baby Help Center|Do I need to own all the rights to the music I’m selling?(確認日:2026-03-29)

出典:CD Baby Help Center|Downtown Music Content Policy Rules(確認日:2026-03-29)

ひとくちメモ:SoundOnについて

SoundOnはTikTokが運営するディストリビュータで、TikTokブランドの認知度もあり、使っている方も多いと思います。

ただ、SoundOnのToS(2026年1月版)を確認したところ、AI楽曲の配信可否についての明文規定は見当たりませんでした。TuneCore・DistroKid・CD Babyのように、専用のガイドラインやヘルプ記事も現時点では確認できていません。

なお、TikTokでバズらせてSpotifyで収益化するという導線における規約リスクは、別記事で詳しく解説する予定です。

出典:SoundOn Terms of Service(確認日:2026-03-29)

まとめ|どのディストリビュータを選ぶか

3社のAI楽曲に対するスタンスを並べると、次のようになります。

どれを選べば良いかは、制作スタイルによって変わってくるでしょう。

TuneCore JapanDistroKidCD Baby
100%AI生成NG権利があれば可完全NG
学習データの条件明示的に必要言及なし禁止の根拠として明記
審査のタイミング事前に条件で判断自己申告・審査なし事前に一律拒否
問題が起きたとき登録前に弾かれる登録後にクリエイター負担そもそも登録できない

人間の歌唱や演奏を加えた楽曲を配信したい場合は、TuneCore Japanが選択肢に入ります。ただし条件1(学習データの権利クリア)のハードルは現時点では高く、使用するAIサービスの訴訟状況を踏まえた判断が必要です。

100%AI生成のまま配信したい場合は、DistroKidが現状では最も通りやすい選択肢です。ただ「通った」ことと「安全」は別の話で、権利の根拠を自分で説明できる状態にしておくことが前提になります。

CD Babyは現時点でAI楽曲全般を受け付けていないため、AI楽曲の配信を主目的とするクリエイターには向きません。

規約は随時更新されますから、使用するサービスの規約を定期的に確認しておくと、リスク回避につながります。

参考データ

TuneCore Japan|AIを使用したリリースに関するガイドライン
https://support.tunecore.co.jp/hc/ja/articles/45273817681945

チューンコアジャパンディストリビューションサービス利用規約(2025年12月22日改定)
https://www.tunecore.co.jp/terms/person

DistroKid|Can I Upload Music Made With AI Tools to DistroKid?
https://support.distrokid.com/hc/en-us/articles/41182362733715-Can-I-Upload-Music-Made-With-AI-Tools-to-DistroKid

DistroKid Terms of Service(As of September 1, 2024)
https://distrokid.com/terms

CD Baby Help Center|Do I need to own all the rights to the music I’m selling?
https://support.cdbaby.com/hc/en-us/articles/204498265-Do-I-need-to-own-all-the-rights-to-the-music-I-m-selling

CD Baby Help Center|Downtown Music Content Policy Rules(Updated: October 2025)
https://support.cdbaby.com/hc/en-us/articles/41589514049037-Downtown-Music-Content-Policy-Rules

SoundOn Terms of Service(Last updated: January 2026)
https://www.soundon.global/legal/terms-of-service?lang=en

WMG|Warner Music Group and Suno Forge Groundbreaking Partnership(2025年11月25日付)
https://www.prnewswire.com/news-releases/warner-music-group-and-suno-forge-groundbreaking-partnership-302626017.html

※2026年3月29日時点で確認したものです。

この記事を書いた人

大本 雅史(おおもと まさし)|行政書士(2019年登録)
遺言相続・在留資格・開発許可等業務を経験後、AI法務整理家へ転身。
著作権法を中心に「公開して大丈夫?」「後で起こるリスクは?」などの場面に、一次ソースの根拠を持って答えることを方針としています。

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