たまこさん遺言状を書くよう子供たちに言われたけど、何すれば良いかさっぱりなのよねぇ…。
このページでは【自分で書く遺言書(自筆証書遺言)】について紹介します。
近年「終活」という言葉が世間一般に広く認知されました。
「遺言書作成」も終活の一環ですが、何を書けば良いかわからないものですよね。
人生において遺言の作成は絶対必要では無いものの、書いてしまえば気持ちが楽になるでしょう。
と申しますのも私はこれまで行政書士として業務をする中で、遺言を作成したお客様のほっとした笑顔を見てきたからです。
今回の記事内容が貴方様の遺言書作成の一助になりますように。
\ お気軽にご相談ください /
【直接面談・電話・オンライン】30分無料
遺言とは「次の世代に繋ぐための制度」のこと


遺言とは自身で築いた財産だったり、先祖から受け継いできた土地などを、また次の世代へ引き継ぐための制度。
遺言の書き方にもルールがあって「民法」という法律でそのルールが定められています。
世間一般的には遺言状(ゆいごんじょう)と呼びますが、民法では遺言(いごん)と呼ぶことがほとんどです。



いごんねぇ…。華厳(けごん)の滝なら昔行ったよ。
遺言の種類
遺言は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」に分かれます。
今回の記事は「自筆証書遺言の書き方」をメインにしていますが、書くべき内容はどのタイプも同じだとお考えください。
なお各遺言の大まかな特徴は以下の通りです。
現在利用されている遺言の形式は公正証書遺言がほとんどです。
ただ公正証書遺言は手数料がかかるため気軽さという点が少々失われるでしょう。
また、令和2年より法務局で「自筆証書遺言書保管制度」がスタートされているため、自筆の遺言がより身近なものになったかも知れません。
自筆は気楽な反面、専門知識を取り入れないと無効になるリスクがある
自筆証書遺言の書き方の原則


ここからは実際に自筆証書遺言を作成する場合のルールを見ていきましょう。
法に則った作成方法を間違えると遺言が無効になりますので用心なさってください。
まず自筆証書遺言に書くべき内容は次の通りです。
- 全文
- 日付
- 氏名
(印を押す必要があります)
自筆証書遺言の作成例
民法第968条では「全文」「日付」「氏名」に関する規定が定められています。
これらは全て正確に書く必要があって、もし旧字体を使っているならその通りに書かなければいけません。
具体的には次のような形が原則です。
遺言書
遺言者〇〇〇〇は下記の通り遺言する。
第1条 遺言者の長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に
次を相続させる。
(1)土地
所在 〇〇県〇〇市〇〇町
地番 〇〇〇番
地目 宅地
地積 〇〇㎡
(2)建物
所在 〇〇県〇〇市〇〇町
家屋番号 〇〇〇番
種類 居宅
構造 木造草ぶき平屋建居宅
床面積 〇〇㎡
第2条 遺言者の次男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に次を相続させる。
(1)〇〇〇〇銀行〇〇〇〇支店普通口座〇〇〇〇〇〇〇内の預金すべて
第3条 遺言者の三男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に次を相続させる。
(1)自動車
登録番号 神戸〇〇〇ん〇〇〇〇
種別 〇〇
車名 〇〇〇〇
車台番号 〇〇〇〇〇〇-〇〇〇
型式 〇〇〇-〇〇〇〇〇
(2)第1条及び第2条に記載した内容を除くすべてのもの
令和 年 月 日
〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地〇号
氏名 印
昭和〇〇年〇〇月〇〇日 生
全文は必要に応じて内容を加除します。
相続発生後のスムーズな手続きのため財産目録を添えることはあるものの、それは必須ではありません。
目録については別のページで触れますので、ひとまずここでは基本の形をご覧になってください。
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
引用:民法第九百六十八条
※便宜上、当ブログにて太字及びマーカーを加えています
全文
全文は「誰に」「何を」相続させるのか明確に記入します。
預金口座など多いと大変ですが、ひとつずつじっくり書いていってください。
また相続人(受け継ぐ側)の氏名は、下の名前だけではなく苗字と名前、生年月日を忘れないようにしましょう。
単に「長男に家を譲る」だと「誰に」「何を」が不明瞭になってしまう
ここで不動産については住所の書き方も注意点のひとつです。
普段よく用いる住民票上の住所ではなく、土地や建物の権利を明らかにする「登記簿」を準備してください。
法務局のホームページで、オンライン請求窓口受領なら手数料が安くなります。
日付
日付はたった1行ほどの内容です。
でも相続発生後のトラブル防止の観点から正確に書いていくようにしましょう。
日付に関する一般的な要件に以下が挙げられます。
- タイピングではなく自筆であること
- 「西暦」または「元号」の記載が必要
- 「吉日」など曖昧な表現は不可
- 全文を通じ複数個所に書く場合は全て同じ日付であること
遺言は作成完了後に再作成も可能ですが、仮に複数の遺言が発見されたら「後のものが有効」とされます。
日付は民法の条文上で必須記載項目ながら、その書き方を巡り裁判になった事例がありました。
せっかく遺した遺言がトラブルの種にならないよう、しっかり記していくことが肝要です。
遺言無効確認請求事件
(略)
引用:裁判所COURTS IN JAPAN【昭和26(ネ)679 遺言無効確認請求事件】
自筆証書による遺言書に、法が日附の自書を要求する所以は、遺言者が遺言をなす当時において遺言能力を有するや否やと二個以上の遺言が抵触するが如き場合に、遺言の前後を確定する必要あるに対処しようとするに外ならないから、日附は必ずしも遺言書の本文に自書するの要なく、
(略)
自筆証書による遺言書の日付は、常に必ずしも遺言書の本文に自書することを必要とせず、本文を封筒に納めて、本文の遺言者の氏名下に押した印で封印した上、その封筒に日付を自書することを妨げないし、その日付は、数字で自書しても、日付の自書としての効力を有する。
(略)
※便宜上、当ブログにて太字及びマーカーを加えています
氏名
氏名は戸籍に記されてある通りに書きます。
普段使っていた漢字が「戸籍上では旧字体」というのはあり得ることでしょう。
また長年用いてきた通称も戸籍と異なる場合、遺言では効力を発しないため注意が必要です。
住所と生年月日
なお「住所」や「生年月日」は民法上の必須記載事項ではありません。
遺言は「誰が遺したものであるか」にクローズアップされ遺言者が特定されることが目的です。
「住所を書き間違えてやり直し」といった状況も想定されますから「絶対ではない」ことに留意ください。
ただ同姓同名の方がいる場合など、誰が遺したものかわからなくなるケースも考えられます。
そのため極力「住所」と「生年月日」は遺言に記す方が良いでしょう。
実際に私が業務として遺言作成に携わる場合、住所と生年月日を書いて頂くようにしています。
自筆証書遺言の記載内容はお金にとどまらない


遺言に記載できる自己所有財産にも色々あります。
ここでは遺言に記載できる財産内容とともに「付言(ふげん)」についても紹介します。
また、現在自分自身が何を所有しているのか把握するきっかけになるでしょう。
金融財産
預金や株式、債権に投資信託など、金融機関に預けているお金は相続の対象になります。
長い間まったく触れていなかった通帳や証券があるかも知れません。
遺言を作成するついでに金融資産の棚卸しをすると良いでしょう。



そういえば亡くなった亭主の銀行口座、放ったらかしのものがあったねぇ。
不動産
不動産と言えば「土地」と「建物」ですが、これらそれぞれに所有権が存在します。
建物は自己所有でも土地は地主所有、といったことがあるかも知れません。
代々受け継がれてきた不動産を所有している場合、法務局で詳細を確認してみると良いでしょう。
自動車や貴金属などの動産
自動車や貴金属といった動産も、遺言書に記載できる所有物になります。
大切な指輪などを次の世代に遺すのは良いことですね。
ただ「どこに保管したか忘れてしまった」というケースもありますので、遺言作成を思い立ったら自宅の整理整頓がおすすめです。
整理整頓で意外と多く見つかるものに旅行券や商品券なども
祭祀主宰者の指定も可能
祭祀(お墓の管理や〇〇周忌法要等々)について、通常はそれまでの慣習にならって次の世代に引き継がれます(例:代々長男が主宰)。
しかし遺言に祭祀主宰者を定めることも可能で、必須ではありませんが状況に応じ使い分けてみてください。
遺言で定められる祭祀主宰者は、血縁関係にある者でなくても良いとされています。
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
引用:民法第八百九十七条
※便宜上、当ブログにて太字及びマーカーを加えています
付言
「付言」は必須項目ではなく、また法的に必ず効果を発生させるものではありません。
しかし想いや気持ちを表すため遺言の中に添えることが可能です。
例えば遺言に「法定相続人ではない人に財産を相続させる」旨の内容がある場合、実子など他の相続人への配慮を綴ることができます。
書き終えた後の処理方法
封をする場合
映画やドラマだと、弁護士が遺言状を封筒の中から取り出す姿が描かれます。
でも法のルール上では自筆証書遺言に封をすることは必須ではありません。
封筒に入れる場合でも法律で定められた要件はありませんが、次のようなことに注意すれば良いでしょう。
- 封筒の表面に「遺言書在中」と書く
- 裏面に「作成日」「遺言者氏名」を書き「署名捺印」
- 「遺言発見者は開封せず家庭裁判所で検認申立を行なう」旨の記載
自宅で保管するなら封筒に入れる場合がほとんどかも知れません。
封筒はA4サイズくらいの大きめの物でも良いですし、封筒を使わずクリアファイルに保存するのも良いでしょう。
保管場所の確保
自宅に保管する場合、誤って捨てないようにしたいもの。
信用できる友人知人に保管場所を伝えたり、士業の人たちに保管の相談も可能です。
法務局で「自筆証書遺言書保管制度」もスタートしていますから有効に活用していきましょう。
遺言執行者に伝えておく
「遺言者が遺言に指定した者で、遺言内容の実現のため必要となる一切の行為を行なう者」を遺言執行者と言います。
遺言執行者も例えば子や配偶者であったり近くの信頼できる人だったり様々ですが、自筆で遺言を作成した後はひと言伝えておくと安心できるでしょう。
また、法では遺言執行者について遺言に書くことが「できる」とあり必須事項ではありません。
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
引用:民法第千六条
※便宜上、当ブログにて太字及びマーカーを加えています
ただ、後々のことを考え「遺言執行者」の設定をしておきましょう。
自筆証書遺言は遺言者の没後、家庭裁判所で検認してもらう必要があり、ケースによっては遺言執行者が必須となる場合があります。
裁判所に遺言執行者を選任してもらうのも良いのですが相続開始後に時間がかかってしまうでしょう。
自身で遺言に遺言執行者を記すことで、相続人の時間の浪費を回避
⇒後々想定されるトラブルのもとを摘み取れる
財産目録のみタイピングも可能


2019年1月に施行された民法の改正で、財産目録に関してはパソコンなどを使いタイピングが可能になりました。
手書きで作成する負担が少しでも減ると助かります。
でも留意すべき項目がいくつかありますので以下ご確認ください。
「全文」は自書が前提
自筆証書遺言でタイピングが可能なのは飽くまで財産目録のみ。
その他の「誰に」「何を」といった全文の内容は自筆であることが求められます。
また財産目録の途中に、自筆で全文の一部分を記入するのも避けた方が良いです。
「記名」も自筆
ご自身の記名をする際も、タイピングではなく自筆で行ないましょう。
記名と後述する捺印は、財産目録が複数ページになる場合、各項に行なう必要があります。
偽造を防止する観点からも必ず全てのページに記名捺印してください。
各項に捺印が必要
財産目録をタイピングする場合でも、すべてのページに印鑑で捺印することが必須です。
捺印と記名はほぼセットだと捉えて差し支えありません。
財産目録が何ページも必要なことはあまりありませんが、頭の片隅に留めて頂けましたら幸いです。



パソコンなんてほとんど使わないけどねぇ…。
まとめ
以上、自筆証書遺言作成の流れについて説明して参りました。
作成が気楽な一方で作成中や作成後、内容に自信が持てないことも考えられます。
当事務所でもサポート体制を整えておりますが、市役所で催される市民講座などもぜひ利用してみてください。
\ お気軽にご相談ください /
【直接面談・電話・オンライン】30分無料
